2015年12月11日金曜日

風呂

 家にはアメリカ人の二十歳の女の子がホームステイしている。クリスという。
 ラオポーはこのクリスをあまり気に入っていない。好き嫌いが激しいのと少し変わっているからだ。 ラオポー本人も変わっているところがあるのだが。とにかく気に入っていない。
 クリスは普段、シャワーを朝浴びるだけなのだが、たまに湯舟にもつかる。
 ラオポーはクリスが私の後に同じ湯船につかるのがいやらしくないか?と言う。私は何を言ってるのか理解できないが、湯船につかる習慣のない国の発想、だとは思った。
 台湾は日本以上に湿気が酷いので、日本人と同じように必ず毎日入浴する、だが普通はシャワーを浴びるだけだ。浴槽がないのが一般的だし、ほぼ100%トイレとくっついている。(浴室という言葉はあるが一般的でなく、トイレでシャワーを浴びると言うような言い方をする。ラオポーは日本の家でもその言い方をする)
 また浴槽がついてても取り外してしまったり、とにかく浴槽にほとんど馴染みがない。だがほとんどの家、マンション、アパート(最新の建物を除いて)の水道と給湯器の性能がとんでもなく酷い。水圧も弱く、お湯もちょくちょく水に変わる。対策としてクソでかい桶や鍋なんかを置いて、そこにお湯を溜めて使う、それなら浴槽をあったほうが便利だろうという非効率的な事になっている。これは私が台湾に住んでてかなり不満だった点だ。
 ラオポーのうちもこんな感じで湯船につかる習慣がないので、このよくわからない、いやらしいという感情が湧いてくるのだろう。かと言って一人一人にお湯を入れ替えるのも面倒くさいので、黙殺するのみだが。

2015年12月4日金曜日

台湾の神様

 少し前、ラオポーの女友達が日本に遊びに来て数日うちに泊まり帰っていった。その時に御守を忘れたとかで、ラオポーが慌てて台湾に送った。
何を慌てているのかと思ったが、数日後ラオポーが私に理由を教えた。
 それがないと幽霊が見えて、見えてしょうがないだそうだ。
 私は基本的にこういった話は、信じない。だが、本人が見えるというなら見えるんだろう。場合によっては病院に行ったほうが良い。
 だがラオポーはこういう類の話を信じる。ラオポーはその友達、Nとしよう、そのNの話をした。
 数年前から始まったらしい、ある日突然に。見えるだけではなく肉なんかも体が受け付けなくなった。
 ある日、Nが友達の家に遊びに行った、そこの居間には関帝の祭壇がある。日本でいういところの神棚や仏壇みたいなもんで珍しくない。ちなみに関帝というのは三国志の関羽が神になったものだ。するとNに関帝が話しかけてきた。明日、お前は土地公(神様の名前だ台湾にはそこら中に祀られている)のどこどこの神社に行きなさい、理由は聞いてはならない、と。
 Nは素直に言われた通りの神社に行ってお参りした。(私もこの神社には行ったことが二回ほどある、かなり有名な神社だ)お参りが終わると見しならぬ子連れの男性がNに話しかけてきた。あなたの名前はNかい?と。Nは当然驚いた。
 その男性はなぜ名前を知っているか理由を話した。昨日の夜に夢に土地公が出てきて、神社に行きNという女性を家まで送れと言われたというのだ。男性は半信半疑神社に来たら、Nがいたというのだ。
 子連れとはいえ、やはりNは女性なので見知らぬ男性の車に乗るのには抵抗がある。そんな素振りをみてその男性は自分は警察官なので信用してくれてと警察バッジを見せたそうだ。Nはそれならと家に送ってもらった。やれやれ気の利いた神様じゃないか!!
 ちなみに私の家で数日過ごした間にも何かを見たらしいが、ラオポーは怖くて聞いていない。